たくさんの人たちが店に来て欲しい。撮影に来る地域の人たちでスタジオがいっぱいになって欲しい。多くの写真館は、そう願っているのではないでしょうか。
それにはどうしたらよいか。地域の人たちの幅広いニーズに応えよう… と思ってしまいがちですが、0歳から3歳までをターゲットに絞り込むという、まるで逆の方法をとって成果をあげているのが、福岡県うきは市の「写真の松屋」松尾勝彦氏です。
7年前に、売り上げの6割りを占めていた結婚式場を出なくてはならなくなったそうです。また、松尾氏は「フジコンに入賞して帝国ホテルに行く」ことと「写真づくりでテレビに出ること」を目標としてきしまたが、それがかなえられたとき、これで顧客が増えると思ったのですが、案に相違して変わらなかったそうです。
松尾氏は勉強熱心です。このような壁に突き当たっていたとき読んだ1冊の本に導かれて開眼、その後300冊のビジネス書を読破し、そのなかから写真館に適切なマーケティングを探り出してきました。これからは、マーケティングを重視しなくては写真館業界は衰退していくと考えています。
こうした勉強と体験の末に分かったことが「お客様にお店のファンになってもらうこと」であり、それを突き詰めていった方策のひとつがターゲットの絞り込み、つまり0歳から3歳までを撮影顧客対象として絞り込むという戦略へと結実したのです。
具体的にはベビーフォトキャンペーンに力を入れ、ベビーを連れたピクニックのようなロケーション撮影、ママの写真教室などを取り入れました。女性スタッフだけで撮影する「授乳シーン」のカットを撮影すると、顧客はいっぺんにスタジオのファンになってしまうそうです。結果は目に見えて現れました。顧客の絞り込みがブライダル受注増に結びつくなど、マーケティングに目覚め、経営手法を変えただけで、2年間で売り上げが158%に伸びました。
ファンづくりのためのさまざまな手を、ほかにも打っています。来店3日目に出すサンキューレター、14日後に出すスタジオの理念を伝える手紙、21日目に贈る思いがけないプレゼントという「21日間感動プログラム」や、撮影した子供たち「天使のあしあと写真展」といった具合に、顧客の気持ちに届くプログラムを用意しています。
なかでも2ヵ月に一度2,000通発送している「あしあと通信」は不可欠のアイテムになっています。これを3年間継続し「写真の松屋」の考えていることや価値を、丁寧に消費者に伝えています。ほかにもラブレターのようにつくるチラシ、見込み客・新規客・既存客をファンにするための方策、集客商品と収益商品など、貴重なマーケティング情報が満載。経営者はもっと勉強する必要があるという松尾氏、みなさんもセミナー2で、一緒に学びましょう。